1、 新潟県阿賀野川河口(汽水域)、青森県西津軽郡越口の池(淡水域)よりチョウセンコツブムシを採集し、高温では死亡率が高いため、15℃低温下、12L-12D光条件下で飼育を行い、性転換にともなう雌の雄性化を生殖器官の外部形態に着目して観察したところ、生殖器官の未発達な幼若体を含め覆卵葉、ペニスの発達により、9ステージの段階にわけることが出来、淡水産についても雌から雄への性転換が起こることを確証した。 2、 上記阿賀野川及び越口の池(過去に依頼した標本をもちいた)に設けた定点において、チョウセンコツブムシのサンプリングと環境調査を行い、野外における性転換過程を1において明らかとなったステージごとに分け、生活史の解析を行ったところ、特に淡水(越口の池)において、従来知られていなかった10月にも繁殖が行われていることが明らかとなった。卵数、卵サイズなどの繁殖形質については淡水産が大卵小産の傾向を示す予備的な結果を得た。 3、 汽水、淡水産チョウセンコツブムシの遺伝的変異を明らかにするため、今年度は、東北地方を中心に、分布の確認と採集を行なった。汽水:山田川河口(青森)、明神沼(青森)、田面木沼(青森)、小川原湖(内沼)(青森)、淡水:鷹架沼(青森)、市柳沼(青森)浅内沼(秋田)で分布が確認できた。これらのアイソザイム分析を行うため、阿賀野川産(汽水)、湧水産(淡水)について遺伝的変異の予備的な実験を開始している。
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