1.北日本を中心とした分布調査により、日本海側ではチョウセンコツブムシが淡水にまで生育地を広げているが、太平洋側では別の種(キスイコツブムシ)が淡水域に侵入している可能性が指摘された。 2.汽水域(阿賀野川)でのチョウセンコツブムシの生活史の特徴は、年2回の繁殖期があり、夏世代と秋世代の間の繁殖が行われた。 3.淡水域(越口の池)では、秋世代の存在が明らかではなく、異なった年次の春世代の間で繁殖が起こり、一年目は雌として2年めは雄として繁殖を行うことが明かとなった。 4.性転換にともなうステージの違いをタイプとして明らかにし、生活史の経過を詳細に解明することが出来た。 5.チョウセンコツブムシの成熟期におけるサイズの比較を汽水産、淡水産で行ったが、傾向は明らかではなかった。また交尾前ガードの雄と雌にはサイズ同類交配の傾向がある地域もあった。 6.チョウセンコツブムシのサイズ同類交配の成立に関する実験では、雄の大型雌の選択、乗っ取り、雌の取り換えなどが関係することが明らかとなった。 7.淡水および汽水に生息するチョウセンコツブムシの繁殖形質の比較を行い、淡水では卵の小産化の傾向が明かとなった。 8.淡水産と汽水産との遺伝的分化の程度を検討するため、アイソザイム分析を行っているが、変異酵素の探索中で、淡水適応における遺伝的分化が今後の大きな課題となる。
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