• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

寄主植物の遺伝的多様性が食葉性昆虫群集に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 10640615
研究機関奈良女子大学

研究代表者

佐藤 宏明  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (20196265)

研究分担者 木村 正人  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
キーワード遺伝的多様性 / 昆虫群集 / Quercus / 潜葉性昆虫 / 分子系統樹 / 寄主植物 / Phyllonorycter
研究概要

1 前年度に行った日本産コナラ(Quercus)属のITS1、ITS2およびLegumin遺伝子の一部の塩基配列にもとずく系統解析を論文にまとめ(前年度研究実績書に結果の概要を記載済み),専門誌に投稿した。
2 日本産コナラ(Quercus)属を食樹とする潜葉性小蛾類Phyllonorycter属について以下の分類学的知見を得た。なお,結果は論文にまとめ,専門誌に投稿中である。
(1)蛹の尾端(cremaster)の形質で明瞭に種を分けられる。
(2)姉妹群であるnipponicella complexにて,カシワのみを食樹とする新種1種を発見した。
(3)nipponicella complexの4種の種分化は食樹選択と密接に関連している。
また,現在,nipponicella complex4種の分子系統樹を作成中である。
3 奈良県春日山裏のクヌギ林にて林冠と下層における葉の形質とPhyllonorycter属の分布密度を調査し,以下の結果を得た。
(1)葉の形質として,葉厚,窒素量(単位面積当たり,単位重量当たりともに)は下層より林冠で有意に高いが,水分含量,面積は逆に下層で有意に高い。
(2)Phyllonorycter属の分布密度は,面積当たり,葉1枚当たりいずれも下層で有意に高い。
(3)Phyllonorycter属の死亡要因として,上層では生理的死亡ないし病死が下層より高い傾向にあるが,統計的有為差はない。
(4)以上の結果より,Phyllonorycter属は栄養価の低い下層の葉を選好していることが示され,この理由として葉の乾燥もしくは葉温の上昇からの回避が考えらる。
4 石狩のカシワ林にて樹木個体ごとの潜葉性昆虫の食害の程度を調べ以下の結果を得た。なお,結果の一部は日本昆虫学会第59回大会にて発表した。
(1)方形区内のカシワ66個体には、潜葉性昆虫の食害を受けやすい個体と受けにくい個体があり、この傾向は2年間を通して観察されたことから、主に遺伝的変異によるものと考えられた。
(2)潜葉性昆虫による食害の受けやすさに影響するカシワの形質として、葉のサイズが挙げられた。

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi