緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumから精製した反応中心複合体(PS-C)では、電子受容体側にはA_0と3種のFe-Sクラスターが、電子供与体側には2個のcyt c-551が電子伝達体として機能している。多連閃光分光実験では、光酸化された初発電子供与体P840^+は、I発目の閃光では半減期約60μ秒、2発目では約100μ秒でcyt c-551により再還元された。この現象は、2個のcyt c-551が反応速度的に等価であるというモデルによって説明でき、電子供与体側に関してはホモダイマー型モデルと矛盾しないと結論された。すなわち、I発目の閃光では2個のcyt c-551が電子を供与できるが、その後のP840とcyt c-551の間の酸化還元平衡(ΔE^0_<cyt>=+53 mV)により2発目では95%のPS-Cで1個のcyt c-551が、5%で2個のcyt c-551が電子を供与するので、みかけの反応速度が低くなるものと説明された。PS-Cは、明所で空気にさらすと電子受容体側が速やかに失活したが、失活部位については検討中である。 C.tepidumから4種の2x[4Fe-4S]型Fdを抽出、精製した。精製PS-C、ホウレンソウFNRの存在下で4種のFdはいずれも高いNADP^+光還元活性を示した。緑色硫黄細菌のFdはこれまで酸素感受性が高いと報告されていたが、C.tepidumのFdは酸素に対して比較的安定で空気中、4℃で6日間後にも10-15%しか失活しなかった。H.mobilisから2種のFdを精製したが、この内の1つは酸素感受性がきわめて高く、4℃、90分で約50%失活した。他の1つは、緑色硫黄細菌のものと同程度に感受性が低かった。
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