ヒドラのペダンクルの各部の小組織片の外植体の足盤細胞への分化を、モノクロナル抗体(AE03)を用いて検出した結果から、「外胚葉上皮細胞はペダンクルの上部において分化の方向付けがなされ、下部において足盤細胞への決定を受けるが、足盤からの抑制によって分化自体は起こっていない」という結論が示唆された。また、「ペダンクルの各部の小組織片の外植体が頭部を再生するか否か」を検定した結果、ペダンクルの上半部の小外植片は頭部形成を行うが、ペダンクル最下部は切断後すぐに外胚葉上皮細胞がほとんど全て足盤細胞に分化してしまい長期の培養によっても頭部を再生することはなかった。この結果も、上記の結論を支持するものである。ここまでの成果は、一昨年(1999年)の第8回International Workshop on Hydroid Development、昨年(2000年)の発生生物学会において発表し、現在、上記のペダンクル部分の外植体の頭部再生に関するデーターを加えて論文にまとめて投稿準備である。 また、足盤に分化した細胞は順に脱落していっていると言われている。そこにおいて、アポトーシスが関与している可能性が考えられるため、現在、TUNEL法などを用いてアポトーシスを起こしている細胞の有無を検討中である。また、アポトーシス関連の遺伝子の発現を検討するために、Caspaseの遺伝子の単離を試みており、現在、PCR法によってcDNAからその断片を単離したところである。
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