クロレラを共生している単細胞生物ミドリゾウリムシは、接合活性や集光性に概日リズムが見られる。この概日リズムの周期の長さや位相の決定に対して共生クロレラが主導的に影響を与えていることがわかった。この影響は明期でのみ見られることや光合成阻害剤などで消失することから、クロレラの光合成産物であるマルトースや酸素が主要な働きをしていることが考えられ次のようなことがわかった。 1、白色細胞にマルトースを与えリズムを測定すると、周期の長さが緑色細胞と同じになる。 2、概日リズムを現さない変異株にマルトースを与えるとリズムが発現する。 3、接合活性を現さない変異株にマルトースを与えるとリズムが発現する。 4、白色細胞中や暗期の緑色細胞中にはマルトースは存在しないが明期の緑色細胞中には存在する。 5、明期の緑色細胞中にはマルトースの他に3糖や4糖も存在していることがわかった。 6、マルトース系列の3糖(トリマルトース)もマルトースと同様の効果があることがわかった。 一方、ミドリゾウリムシは一度接合すると、その後一定分裂回数の間は接合することのできない未熟期という期間がある。この未熟期の長さが概日リズムの周期の長さとどのような関係があるのか、概日リズムの周期の長さの短い突然変異体を単離して調べた。その結果、周期の短い細胞は接合後の未熟期の長さも短いことがわかった。さらに、同じ細胞でクロレラを持っている緑色細胞とクロレラを含んでいない白色細胞での未熟期の長さを比べたところ、緑色細胞の方が短いことがわかった。緑色細胞と白色細胞では緑色細胞の方が概日リズムの周期は長くなるのに、なぜ未熟期の長さは短くなるのかは今後の課題として残された。
|