研究概要 |
骨格筋の収縮ユニットであるサルコメア、脊椎動物の場合,静止長は約2.4μm,伸びた時の長さは3.6μmになる.そこには分子量300万の弾性タンパク質「コネクチン」が存在し,収縮と弛緩を繰り返しても,その弾性で両側から支えて整然とした構造を維持させている. ところが,無脊椎動物であるザリガニのハサミ筋には,静止長が10μm,伸びると14μmにおよぶ巨大サルコメアが存在する.そこには脊椎動物と同じサイズの300万タンパク質が存在し,その弾性を担っている.なぜ同じ分子量(300万)で,4倍もの長さのサルコメアを担うことができるのか?について,一次構造を解析することで明らかにしようとしている. まず,ザリガニハサミ筋のcDNAライブラリーを作製し,抗体スクリーニングにより7kbのcDNA配列を決定した.その後,3′walkingにより新たに5kbを,5′walkingにより7.6kbを決め,予想される全長の約1/4,C末端から約20KbのcDNA配列を明らかにした.この配列は,一部を組換えタンパク質として作製し,それを抗原としてウサギに免疫して作らせた抗体でイムノブロットをおこなうことで,300万タンパク質をコードするものであることを確認した.この配列から予想される一次構造を解析の結果,脊椎動物骨格筋で弾性に関与している「コネクチン」と共通のモチーフであるイムノグ口ブリン様ドメイン,ファイプロネクチン様ドメイン,PEVK elementが存在していた.また,データベースで検索の結果,何ともホモロジーがない,全く新しい繰り返しのアミノ酸配列も持っていることが明らかになった.現在,この新しい繰り返し配列のCDスペクトルを測定するための組換えタンパク質を作製している最中である.
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