研究概要 |
無脊椎動物であるザリガニのはさみ筋には,静止長が9.3μmにおよぶ巨大サルコメアが存在する。そこには脊椎動物(静止長約2.4μm)に存在するコネクチン(分子量300万)と同様な機能を持つタンパク質(3000K)が存在し、その弾性でthick filamentをサルコメアの中央に位置させていると考えられている。なぜ300万という同じ分子量で,脊椎動物の4倍もの長さのサルコメアを維持できるのか?本研究では,ザリガニはさみ筋の3000Kについて,その一次構造の違いから,疑問を明らかにしようとしている。 11年度までに決定した配列をもとに,さらに5′方向へのwalking(C末端は11年度決定済み)を行った。その結果,配列の途中からケッチンと名づけられてれている別なタンパク質(分子量54万)と非常に高い相同性を持つことがわかった。ケッチンがザリガニはさみ筋3000Kのアイソフォームなのかどうか,を明らかにするため,異なった位置に対するプローブを作成してNorthern blotを試みているが,そのサイズが巨大(50kb以上)なため,はっきりした結論は得られていない。 一方,68アミノ酸のくり返し部分に対して作成した抗体を用いた蛍光抗体法により,ザリガニ3000KのC末端はM線付近ではなく,AIjunction付近に局在している可能性が高い。 また蛍光抗体法を用いた実験から、I帯全域に伸長性が認められ,3000Kが脊椎動物コネクチンとは異なる弾性要素も持つことが明らかになった。
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