研究概要 |
鞭毛運動の高分解能解析を実現する目的で、顕微鏡用の高輝度ストロボランプの新しい駆動法を考案した。これにより、35mmフィルムとして超微粒子のマイクロフィルムを使用可能にすることで空間分解能を上げ、また5000fpsでの繰り返し発光を可能にすることで時間分解能を上げることに成功した。また、Microsoft Windows 9x/NT上のアプリケーションとして、高機能画像解析ソフトウェアBohboh.exeを開発し、鞭毛運動の高精度・多様な定量的解析を可能にした。 この新しい方法で、運動開始過程を遅らせることによって得た、運動性獲得の各段階bend-unbend stage,p-bend-only stage,steady flagellar beating stageのウニ精子の運動を解析することで、鞭毛運動機構要素を分離することを試みた。 また、低い濃度のMgATPを含む溶液で再活性化された精子の運動を解析することで、相対的に時間分解能を上げ、従来にない精度で鞭毛運動を解析した。これによって、軸糸内の能動的滑りの活性化すなわちモーター分子ダイニンの活性化が軸糸断面においては特定微小管対に、縦方向にはらせん状にクラスターを作って局在することを示唆する結果を得た。 今後は、本研究で明らかとなった運動機構要素の分子的な実体、モーター活性の局在化を可能とする機構についてより深く研究することが望ましい。
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