カワヤツメ松果体における内分泌性光受容細胞の立体構造を調べた結果、この細胞は基底突起を有しており、突起は分岐せず、他の細胞の突起に結合していた。さらにセロトニンを内分泌性光受容細胞の指標にしているが、松果体にはセロトニン陽性の介在性ニューロンが存在することが明らかになった。また、ホールマウント標本の観察からこの介在性ニューロンを介して、松果体終末嚢の全ての内分泌性光受容細胞は互いに結合していることが示唆された。 神経回路を考えるためにはホールマウント標本が必要であるが、前述したように内分泌性光受容細胞でホールマウント標本を作成し、この標本から立体構築を行うことができるようになった。さらにトレーサーを取り込ませた神経節細胞でもこの方法を改良することで可能になり、神経節細胞の松果体終末嚢での分布が明かになった。松果体では小型の神経節細胞が松果体柄につながる部位である終末嚢中央部に特に多く観察された。これらの結果は今後光受容細胞との分布と比較することで重要な意味を持ってくるように思われる。 内分泌性光受容細胞には網膜と同様に桿体型と錐体型が存在することが、2重標識法を用いて明らかにされてきたが、その3次元的な解析は行われていなかった。今回、2重標識された標本から立体構築を試みた。その結果、内分泌性光受容細胞の多くは錐体型であることが明らかになった。しかし、桿体型もわずかではあるが存在は再確認された。また、これまでは2重標識であったが、セロトニン、桿体視物質、錐体視物質の3種類を同時に観察できるように3重標識法の確立を試み、成功した。今後、この標本からの立体構築を行い、さらに詳細な分布を明にしていく。
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