本研究における各年度の研究成果の概要を下記に示す。 1.カワヤツメ松果体における内分泌性光受容細胞の立体構造を調べた結果、この細胞は基底突起を有しており、突起は分岐せず、他の細胞の突起に結合していた。介在性ニューロンを介して、松果体終末嚢の全ての内分泌性光受容細胞は互いに結合していることが示唆された。 2.蛍光3重標識法を用いて、カワヤツメ松果体における内分泌性光受容細胞の錐体型と桿体型視物質の局在を解析した。その結果、2重標識法で示唆されていた多くの内分泌性松果体細胞は錐体型であることが確認された。アイオドプシン陽性反応単独での存在も確認された。 3.抗グルタミン酸抗体によって、内分泌性松果体細胞が標識された。このことは互いに神経連絡にグルタミン酸が関与していることを示唆するものである。 4.ビジニン陽性錐体型光受容細胞とアイオドプシン陽性錐体型光受容細胞との関係については明らかではなかった。そこで両者について免疫2重標識を行った。その結果、両者は別々の細胞であることがわかった。 5.ビジニン陽性光受容細胞と桿体視物質であるロドプシンとの関係を免疫2重標識法によって確かめた。その結果、ロドプシン陽性反応を示すビジニン陽性細胞が見られた。今回見られたビジニン-ロドプシン陽性細胞はこれまで報告されていない松果体光受容細胞であることが示された。 6.神経節細胞について、細胞の形態(球形、楕円形)や大きさを指標にして分布を調べた結果、小型の神経節細胞は終末嚢の中央部に多く見られるが、大型の球形細胞はこの部位には存在せず、周辺部に存在することが明らかとなった。
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