研究概要 |
血管退縮機構は血管系の形成、維持、機能に大きく関係していると考えられるにも関わらず、そのメカニズムは十分に解明されていない。そこで出血性ヘビ毒中に存在する新しい血管内皮細胞特異的アポト-シス誘導物質の構造や機能を解明することを目的として、前年度の研究ではガラガラヘビ由来の血管退縮因子(VAP1,VAP2)の部分アミノ酸配列を決定し、これらが新規のタンパク質であることを明らかにした。 今年度は、その部分アミノ酸配列をもとにクローニングを行い、VAP1、VIP2、ハブ毒血管退縮因子(HV1)の全一次構造を決定した。その結果、血管退縮因子VAPsは、メタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメインから構成され、それぞれ609、608、612アミノ酸からなることが分かった。またアポトーシス誘導能を持たないヘビ毒メタロプロテアーゼ・ディスインテグリンファミリータンパク質との比較からVAPに特徴的なアミノ酸がメタロプロテアーゼドメインに多く存在することが分かった。またディスインテグリンドメインにはRGDではなくSECDまたはDECD配列があった。このことからこれらに結合する特定のインテグリンやインテグリン関連タンパク質がアポトーシス誘導に関係していると考えられる。 本研究で得られた一次配列は生体内のアポトーシス誘導タンパク質や血管退縮因子の検索などに利用できることなど、血管退縮を司る血管内皮細胞特異的な信号伝達機構の解明に寄与すると考えられる。
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