研究概要 |
本研究の目的は、昆虫の光周受容物質の本体が、視物質ロドプシン様のものであろうと推定し分子生理学的手法でもって、光周受容機構の分子メカニズムを解明することである。本年度は、まず実験昆虫のカイコを用いて、幼虫脳から調整したcDNAをテンプレートにして、PCR法でオプシン様蛋白のクローニングの完成を試みた。その結果、3′Race,5′Race法によって昆虫オプシン様の全長クローン遺伝子を1つ得た。このクローンcDNAは約1.6KbascでORFは377aaをコードしていることが判明した。アミノ酸シークエンスを他の昆虫の既知オプシンと比較ずるとManducaの複眼視物質manopIと70%の高い相同性と示していることがわかった。これのC末端ペプヂド部分を発現ベクター系を用いて、発現・精製したものに対してマウス抗体を作製し、.免疫組織学的に実際の発現部位を検討した。対照として用いた単眼のラブドーム部分は、はっきりと染色されるが、問題の脳では、いまのところ再現性のある結果は得られていない。材料の調整法を工夫しつつ、再現性のあるデーターを得るように、研究を進行している。
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