カイコ脳のcDNAを調整し、これをテンプレートに、複眼のオプシンを増幅したプライマーを用いてPCRをおこなった。その結果、約200baseのバンドが増幅されたので、サブクローニングを行い、210base(70アミノ酸)のオプシン様遺伝子のフラグメントを分離同定した。この核酸配列をもとにレース法を行い、その後ORF全長を増幅した。cDNAのシークエンスは約1.6kbaseでORFは377アミノ酸配列をコードしていた。これを他の昆虫の視物質のアミノ酸シークエンスと比較すると、タバコスズメ蛾の複眼で報告されているManop1とかなり高い相同性をしめすことが分かった。これの類縁性から推定するとこの色素はグリーンンレセプターと思える。このカイコ脳内のオプシン様タンパク質(Bombyx cerebral opsin)を、Boceropsinと呼ぶことにした。BoceropsinのC末端付近の25アミノ酸配列をもとにペプチドを合成し、これに対するマウスの抗体を作成し、これを1次抗体としてカイコ脳を材料に、免疫組織学的実験をおこなった。その結果脳に複数対染色される細胞が観察されたので、時間生物学会等で発表した。論文としては現在準備中である。
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