1、 ロドプシン-q-PLC反応カスケードの再構成:イカ網膜から、ロドプシン・Gqαβγ・PLCを分離精製し、脂質ベジクルに組み込んで再構成した反応系を完成し、反応の最下流のPLCの活性が光とGTP存在で著しく増加することを確認した。今後、この再構成ロドプシン-Gq-PLC反応系を標準的なアッセイ系として用い、調節因子を調べてゆく。 2、 130kDa PLCと95kDaPLCの機能の差異:カルシウム依存性プロテアーゼにより130kDa PLCの触媒部位よりC末端側が1個所切断されて、95kDaPLCと35kDa断片が生じた。95kDaPLCはGqαにより岳性化を受けないが、Gqα存在下で濃度依存的に35kDa断片により活性化された。C末端側の35kDaペプタイドはこれ自身が調節ドメインであり、Gqαと結合して95kDa PLCを活性化することが分かった。PLC活性化には大過剰の35kDa断片が必要なことから、プロテアーゼによる切断はロドプシン-Gq-PLC反応カスケードの停止機構の一つであると考えられる。 3、 130kDa PLCの一次構造:イカ網膜cDNAから130kDaPLCのクローニングを行った。現在、約1100アミノ酸をコードする領域をカバーする一部重複した複数のクローンを得ている。これまで分かったl30kDa PLCと既に報告されている98kDa PLCを比較すると、後者は前者の一部が欠損し、前者にない配列が入って途中で終了していることが分かった。98kDa PLCには2、で述べた35kDaペプタイド部分がないので、Gqαにより活性化を受けない種類のものと考えられる。 4、 その他計画した研究に、C-キナーゼの同定と分離がある。C-キナーゼはRIを用いた実験を計画していたが、合成基質ペプチドと質量分析計を用いた方法に変更し、現在準備している。
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