研究概要 |
1、視細胞ホスホリパーゼC(PLC)の一次構造の決定:分離精製した130kDaPLCの部分アミノ酸配列を決定し、これをもとにイカ網膜cDNAからPLCのクローニングを行った。決定したDNA配列から1112アミノ酸からなる分子量125,628のものと推定され、質量分析によって得られた値はこれに近かった。 2、PLCの切断部位の決定:130kDaPLCは内因性のカルパイン様プロテアーゼで切断されてGqαによる活性化を受けなくなる。質量分析とアミノ酸シークエンシングの結果から、M(859),G(860),K(862)の位置で切断される事が明らかになった。切断により生じたC末端側断片はGqα共存下で濃度依存的にPLCを活性化したので、触媒部位から独立した活性調節ドメインをなすことが明らかになった。 3、水溶性Gqαと膜結合性Gqαの構造と機能の差異:明順応でGqαは膜結合性から水溶性のものに変化した。光によるGTPase活性の上昇は膜結合性のものにだけ見られるので、水溶性のものはロドプシンと相互作用しない不活性型Gqαであると結論した。チオエステル結合を切断するNH2OH処理すると膜結合性Gqαは水溶性のものになるので、脂肪酸修飾の有無が両者の構造的差異であると推定された。 4、プロテインキナーゼC(PKC)の同定と分離:合成基質ペブチドヘの^<33>P-ATPの^<33>Pの取り込みを指標にして、イカ網膜分画中の活性成分を検索した。陰イオン交換クロマトと疎水性クロマトの組合せにより、ジアシルグリセロールによって活性化される蛋白燐酸化酵素を比活性270倍まで精製した。
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