研究概要 |
1.Fulicinおよびfulyalの分解酵素 食道下神経節膜画分にfulicinおよびfulyalを分解する活性を見いだした。この活性は二価金属を必要とし、特定の阻害剤により阻害されることからエンドペプチターゼ24.1.1様酵素によるものと思われる。 2.Achatin-l,fulicin,fulyal,およびACEP-I前駆体遺伝子の発現を中枢神経節と心房で観察した。Achatin-l遺伝子は食道下神経節から検出され、心房からは検出されなかった。fulicin,fulyal遺伝子とACEP-I遺伝子は食道下神経節と心房から検出され、ACEP-I遺伝子は脳神経節からも検出された。In situ hybrizationによりachatin-l遺伝子は足神経節、fulicin,fulyal遺伝子は体壁神経節、ACEP-I遺伝子は脳神経節と足神経節に発現する細胞が観察された。以上の結果からachatin-lは足神経節のみで合成されるが、fulicin,fulyalとACEP-Iは中枢神経節と心房の両方で合成され、fulicin,fulyalとACEP-Iは心房性ホルモンとして働いている可能性が示唆された。 3.Fulicinおよびfulyalの生殖器に対する役割 Fulicinおよびfulyalは雄性生殖器(ペニス鞘)と同様に雌性生殖器(膣、卵管)にも収縮活性を示し、fulicin様物質を含む神経繊維が膣と卵管を広範に支配していた。質量分析により膣にfulicin,fulyalとfulicin遺伝子関連ペプチド(FGRP)七種を確認した。FGRPは収縮活性を示さず、fulyalの活性がfulicinの1/100程度であることから、fulicinがアフリカマイマイの雄性と雌性の生殖器の運動を制御する生理的は神経ペプチドであることが示唆された。
|