研究概要 |
ヌスビトハギ連分類体系改良のために、分類学的位置に疑問のあるDendrolobium属とDesmodium属の種を選別し、研究した。Dendrolobium属はこれまでインドシナ半島を中心としたアジア大陸で分化し、一部がフィリピンなどにも分布すると考えられていた。しかし、最近オーストラリアとニューギニアで原始的と推定されるDendrolobiuma arbusculaが発見された。そこで、まず、アジアとオーストラリアの間に位置するフィリピンに注目し、ここのDendrolobium属を再検討した。これまでフィリピンには2種あるいは3種が分布すると報告されていたが、本研究により、1新種Dendrolobium geesinkii H.Ohashiを含む4種の生育が確認された(Ohashi 1998)。次いで、オーストラリアのDesmodium plyneurum S.T.BlakeがDendrolobium属であることを明らかにし、その学名をDendrolobium plyneurum(S.T.Blake)H.Ohashiと確定した(Ohashi 1998)。さらに、Dendrolobium arbusculaを形態学、花粉学的に精査して、Dendrolobium umbellatumとの区別点を明らかにするとともに、本種の分類学上の位置を定め、ニューギニアから近縁の新種Dendrolobium umbellatum Ohashi&T.Nemotoを発見した(Ohashi,Ye&Nemoto,in press)。Desmodium属の研究では、分類学上の位置が不明であったDesmodium bolsteriについて研究し、本種がHeteroloma節に所属することを明らかにした(Ohashi1998)。
|