研究概要 |
レキデア型の子器を形成する、今日では系統的に異質な分類群の集まりとされるヘリトリゴケ類の系統分類を進める目的で走査型電子顕微鏡を用いて子器apothecia発生、特にその外縁を構成する果殻exipulumの菌糸組織の微細構造を研究した。 今年度は、最終年度ということもあり、比較的斬新な地衣類分類体系を提出したTehler(1966)で分類されているヘリトリゴケ類の内で、これまで観察研究していないAmygdalaria,Lecidella等14属、及び従来ヘリトリゴケ類とは系統的に異るとされているが申請者のこれまでの研究で類縁関係を求められる可能性のあるBuellia,Crocynia,Maronea等6属、そしてLecidea(広義)であるものの所属が不明なL.albofuscescens等7種を研究した。 Amygadalariaに含められる数種に近縁属Porpidiaへの移動を考えなければならない種があり、果殻の菌糸組織を検討した結果、この組織が薄いものから肥厚化への傾向がこの仲間の進化傾向として考えられるため、欧米の研究者とは違う見解をとった。このように多くの属或いは科とそれ以上の分類群間で興味深い結果を得た。また、所属が不明とされていたLecidea(広義)のL.zeorinaは子器内の各組織、特に果殻の菌糸配列がTremoleciaによく一致するため、新にこの属への移動をするに至った。
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