1.センリョウの訪花昆虫の調査を沖縄県名護市と和歌山県東牟婁郡古座川町で行った。沖縄では4月29日から5月3日まで計20時間の調査期間中、訪花昆虫は全く観察されなかった。古座川町では小型の甲虫類とハナバチが訪花した。 2.キビヒトリシズカについて高松市と観音寺市で観察と実験を行い、以下のことが明らかになった。 (1)花は雌性先熟で、柱頭がreceptiveなように見えてから、ほぼ3日後に雄蘂の葯が開く。その後も柱頭は数日間receptiveのように見える。 (2)雄蘂の基部が花軸とともに狭い室をつくって雌蘂を被っていて、雌蘂は雄蘂が脱落するまで露出されない。 (3)花密は分泌されない。しかし、心皮の上部に少量の液体が分泌される。 (3)主要な訪花昆虫はアザミウマであり、雄蘂基部の室を出入りするところが観察された。アザミウマの体には花粉が大量に付着していた。従って主要な授粉者はアザミウマと考えられる。 (4)自家和合性があり、自家受粉を高率に行っている可能性が高い。
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