研究概要 |
平成10〜11年度の2年間に、フタバガキ科3属4種 : Dipterocarpus alatus,D. chartaceus, Shorearoxburgii及びVateriopsis seychellarum、の生殖形質の研究を行った。 これら3属4種が共有する形質は以下の通りであった。1)倒生胚珠である。2)珠皮は2枚である。3)珠皮は多層である。4)4個の大胞子は線状の四分子を形成する。5)維管束は外珠皮のみに見られる。6)胚のうはタデ型である(但し、3個の反足細胞は短命で、その結果、成熟した胚のうは5核である)。7)成熟した胚のうは楕円形である。8)成熟した胚珠の中に珠心の組織が残る。9)内乳形成は自由核型である。10)外乳は形成されない。11)短い胚柄が形成される。12)双子葉の胚は左右相称である。13)内種皮外層は柵状の細胞となる。14)葯壁は厚膜組織を持たない。 一方、これら3属4種が共有しない形質は以下の4点であった。1)珠孔は、Shoreaでは内珠皮のみから形成されるが、DipterocarpusとVateriopsisでは内珠皮と外珠皮から形成される。2)VateriopsisはPachycharazaであった。3)DipterocarpusとShoreaではHypostase が分化する。4)子葉は、DipterocarpusとVateriopsisでは渦巻き状であった。 この結果、生殖形質からは、DipterocarpusとShoreaとの類縁性が示唆された。
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