研究概要 |
1.前半にはおもに昨年度に九州南部において実施した現地調査により得られた資料の一部、ならびに国立科学博物館に蓄積されている国内および東アジア諸国産の標本について、比較形態学的、系統分類学的検討を進め、内外の研究者と議論を行なった。 2.後半には、自然の後退による緊急性も考慮し沖縄本島のヤンバル地域や南部の知念村などにおいて、現地調査を実施した。調査地では、海岸近くの低地林や人為の及んでいる地域から島の背部の山地林にいたる植生の比較的よく保たれている場所で、生息状況の生態学的データをとり、クモを採集し固定した。 3.現地調査によって得られた標本は、国立科学博物館の現有施設を利用して、順次、解剖、測定などの作業を行ない、比較形態学的解析を試みた。同時に、同博物館が所蔵する、国内および、東アジア各国のクモ類の未整理標本やドイツでの研究で得られたデータの検討を行ない、本研究のための比較資料の作成に努めた。 4.米国クモ学会に提出した東アジアのキムラグモ類の系統と生態を論じた論文「Spiders of the genus Heptathela (Araneae, Liphistiidae) from Vietnam, with notes on their natural history」を査読結果をもとに吟味したところ、同論文は平成11年8月に同会のJournal of Arachnology誌において公表された。 5.本年度およびこれまでの研究結果をまとめ、日本土壌動物学会での口頭発表を準備した。また、必要な情報を入手し今後の研究計画を練るために立命館大学理工学部(草津)において、研究打合わせを行なった。
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