ハラフシグモ類の多様性と系統からみた東アジアのクモ類の特性と起源

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10640688
• 研究機関: 独立行政法人国立科学博物館
• 研究代表者: 小野 展嗣 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50167326)
• キーワード: 動物分類学 / 系統学 / 形態学 / 多様性 / アジア / 博物館 / クモ類 / ハラフシグモ科

研究概要

1.九州中南部(大分県、宮崎県)および琉球諸島(沖縄本島)において現地調査を実施した。現地では、海岸沿いの低地林から山岳地域や島の中央部に位置する原生林にいたる植生のよく保たれている林を選び、林内および林縁でクモ類を採集し薬品で仮固定するとともに、土壌や生息状況の生態学的データをとった。
2.現地調査によって得られた標本は、独立行政法人国立科学博物館の現有設備(電子顕微鏡を含む)を使用して、解剖、測定、撮影、描画などの作業を行ない、種を同定し、既知の種と比較検討の上、系統を解析した。同時に、同博物館が所蔵している東アジア産のほかの科のクモ類の未整理標本についても、比較材料として同じ作業を進めた。
3.得られた情報の処理に関して、立命館大学理工学部(滋賀県)において研究打ち合わせを行なった。
4.昨年度から今年度こにかけて得られた資料を整理して、日本蜘蛛学会の年次大会のシンポジウム「琉球列島のクモ形類における生物地理」において「琉球列島のキムラグモ類の分布」の標題で口頭発表を行なった。
5.また、以上の研究内容をよく吟味して5編の論文を作成し印刷公表した。
6.本研究の最終年度の作業として、これまでに集積されたデータをまとめ、計画全体を総合的に検討し、アジアのハラフシグモ類の起源や分化の様子を考察した。その結果を、オーストリアで開催されたドイツ語圏国際クモ学会議で「Zur Verbreitungen der Liphistiiden(Araneae)」の標題でポスター発表した。

研究成果

• [文献書誌] Saito, Hiroshi, Ono, Hirotsugu: "New genera and species of the spider family Linyphiidae(Arachnida, Araneae) from Japan"Bulletin of the National Science Museum, Series A. 27・1. 1-59 (2001)
• [文献書誌] Ono, Hirotsugu: "Notes on Three species of trapdoor spiders (Araneae, Liphistiidae and Ctenizidae) from Japan"Bulletin of the National Science Museum. Series A. 27・2. 151-157 (2001)
• [文献書誌] Ono, Hirotsugu, Saito, Hiroshi: "New species of the family Linyphiidae (Arachnida, Araneae)from Japan"Bulletin of the National Science Museum, Series A. 27・3. 159-203 (2001)
• [文献書誌] Jaeger, Peter, Ono, Hirotsugu: "First records of the genera Pseudopoda, Sinopoda. and Olios from Taiwan with descriptions of four new species (Araneae : Sparassidae)"Acta Arachnologica. 50・1. 21-29 (2001)
• [文献書誌] Ono Hirotsugu: "New and remarkable spiders of the families Liphistiidae, Argyrone-tidae, Plsauridae, Theridiidae and Araneidae (Arachnida) from Japan"Bulletin of the National Science Museum, Series A. 28・1. 53-62 (2002)