研究課題/領域番号 |
10650001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 敏夫 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 助手 (90170513)
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研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
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キーワード | 窒化物半導体 / 窒化ガリウム / 窒化インジウム / 混晶 / 量子ドット / 電子構造 / 強結合法 / 量子閉じ込め効果 |
研究概要 |
近年、窒化物半導体の量子ドットレーザー構造への応用をめざして、InGaN量子ドットの成長および光学特性の測定が進められている。InGaN量子ドットの光学特性を理解するためには、量子閉じ込め効果の他に、混晶中の原子配列の乱れや組成変動の効果、さらに、歪みに基づくピエゾ効果などを考慮に入れて、量子ドットの電子構造の計算を行なう必要がある。本年度は、Valence-Force-Field(VFF)法により定めたInGaN量子ドット中の原子配列に基づいて、量子ドットの電子構造の理論計算を強結合法により行なった。In_XGa_<1-X>N量子ドット中の原子配列については、VFF法を用いた計算により、原子配列の乱れによるボンド長とボンド角の揺らぎ、及び歪みエネルギーを求めた。また、In_XGa_<1-X>N混晶の相図も計算した。この原子配列に基づいて、強結合法による電子構造の計算を、ボンド長とボンド角の歪みを原子ごとに取り入れて行なった。まず、592原子から成るIn_<0.2>Ga_<0.8>N量子ドットのギャップ付近の状態密度を計算した。基底軌道はsp^3を用いた。ここで、電子状態は、電荷分布の違いにより、内部状態と表面状態とに分けられる。内部状態の状態密度におけるエネルギーギャップは3.58eVで、量子閉じ込め効果により、同じ強結合パラメータを用い仮想結晶近似で計算されたバルクIn_<0.2>Ga_<0.8>N混晶のギャップ3.11eVよりも大きくなる。実験で成長されたドット(直径84Å、高さ21Å)に近い場合についても、計算を進めている。
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