ゼオライトFSM-16中への1次元半導体C_<60>, C_<70>の創製、そのナノ物性と応用

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650006
• 研究機関: 岐阜大学
• 研究代表者: 仁田 昌二 岐阜大学, 工学部, 教授 (90021584)
• 研究分担者: 伊藤 貴司 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00223157) ; 野々村 修一 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80164721)
• キーワード: 閉じ込め / 量子サイズ効果 / C60 / FSM-16 / C70 / ルミネッセンス / 近視場顕微鏡 / X線小角散乱

研究概要

C60をゼオライトFSM-16に閉じ込める方法として昨年度の蒸気法に加えて、今年度は有機溶媒を用いた溶液法を試みた.この溶液法では有機溶媒にC60を溶かし溶液をゼオライトにしみ込ませ、溶媒を蒸発させることによってC60をFSM-16細孔内に閉じ込めようとするものである.半導体C60固体が400℃で蒸発することと有機溶媒に溶けることを用いた方法である.
(1). この溶液法によってもC60をFSM-16に閉じ込めることに成功した.
(2). C60/FSM-16について光ルミネッセンス・スペクトルのピーク・シフトから閉じ込めによる量子サイズ効果が起きていることが分かった.FSM-16の内壁とC60の相互作用、C60細線間の量子的相互作用を考慮したデータの検討が今後必要である.
(3). C70についても同様な予備実験を行った.
(4). 電子スピン共鳴の実験からC60の閉じ込めが起こっていなければ説明できない共鳴を得ることが出来た.このg-値シフト等に関しても理論的な検討が必要になっている.
(5). X線小角散乱、AFM、近視場顕微鏡(組立を含んで)、SEMを用いた予備実験を行った.

研究成果

• [文献書誌] A.Umehara, S.Nitta, T.Itoh, R.Yasuda, S.Nonomura: "Preparation and properties of one-dimensional C60 nanostructure confined inthe zeolite FSM-16." Proc.SPIE,Vol.3142,Fullerenes and Photonics IV. Vol.3142,. 179-183 (1997)
• [文献書誌] S.Nitta, N.Kobayashi, T.Yaui, H.Habuchi et al.: "Preparation and properties of one-dimentional C60 nano-structure in zeolite FSM-16." Molecular Crystals and Liquid Crystals. (submitted.).
• [文献書誌] H.Habuchi, S.Nitta, S.Nonomura, D.Han: "Effects related to O_2-intercalation in C_<70> films studied by electrical conductivity, photoluminescence and constant photocurrent method" Molecular Materials. Vol.10. 93-98 (1998)
• [文献書誌] T.Gotoh, S.Nonomura, H.Watanabe, S.Nitta, D.Han: "Temperature dependencce of the optical-absorption edge in C60 thin films" Physical Review. B-58,No.15. 10060-10063 (1998)