研究課題/領域番号 |
10650010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前橋 兼三 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40229323)
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研究分担者 |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50189528)
中島 尚男 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20198071)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | ZnSe / GaAs界面 / 電荷中性化 / GaAs(110)微傾斜基板 / 分子線成長 / 反射高速電子回折 / 透過電子顕微鏡 / フォトルミネセンス / X線回折 |
研究概要 |
ZnSe系II-VI族化合物半導体はGaAsなどに比べ、広い禁制帯幅を有するため、青色発光素子材料として大変注目されている。また、その励起子束縛エネルギーも、はるかに大きいために室温でも励起子が安定に存在する。そのため、物性的にも非常に興味深い。本研究の目的は、ZnSe/GaAs界面(ヘテロバレント界面)を電荷中性化することによって、原子レベルで急峻な理想的な界面を形成する事である。 様々な方向にオフしたGaAs(110)基板上にZnSe膜を直接成長した結果、(111)B方向に6゜オフした基板上(GaAs(110)6B)に成長した方が優れていた。しかしながら、TEMで観測すると無数の欠陥が内在していることも明らかになった。そのため、GaAs層を成長した後にZnSeを成長した。得られたZnSe膜の表面TEM像より、GaAs層を導入した場合には、欠陥密度はGaAs層の成長温度に大きく依存することが明らかになった。成長温度が600℃の場合には10^8cm^<-2>程度の欠陥が存在するが、500℃の場合には10^6cm_<-2>以下にまで減少することができた。次にGaAs層を成長させ、得られたGaAs表面におけるAs被覆率の変化をX線光電子分光法(XPS)で測定し、ZnSe成長後X線回折でZnSe/GaAs界面の急峻性を比較した。その結果、Ga:Asがほぼ1:1のGaAs表面へZnSeを成長した試料において、界面の急峻性を示すペンデル縞が強く観測された。さらに、GaAs(100)および(110)6B基板上にZnSe/ZnCdSe量子井戸構造を形成し、PLトポグラフをそ測定した。光学顕微鏡像では見られない暗黒部が観察された。(100)表面から〈100〉と〈110〉へ伸びる暗黒線が観察された。これらはレーザを照射することによりのびていくことが観察された。一方、(110)6B基板上では〈110〉へ伸びる転位と思われる暗黒線のみが観測されたが、これが伸びる現象は観察されなかった。 以上により、GaAs(110)6B基板上にGaAs層を低温で成長することにより、平坦で急峻なZnSe/GaAs界面が形成され、欠陥密度の非常に少ないZnSe薄膜が得られることを明らかにした。PLトポグラフでは(100)と(110)6Bとで転位の入り方に違いが見られ、特に(100)において欠陥の動く様子が観察された。
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