研究概要 |
低エネルギーイオンビームにより導入される照射誘起欠陥の動的挙動を解明し、半導体プロセスへの応用の可能性を探索した。 まず、低エネルギーイオンビームのパルス化照射を用いて、イオン照射誘起欠陥の媛和過程の基礎特性を調べ、照射誘起欠陥の緩和時間を明らかにした。つぎに、イオン照射効果を半導体プロセスに応用する可能性を探るため、ECRプラズマを用いたイオンアシスト酸化過程を系統的に調べ、酸化反応を律速する要因を解明するとともに、高品質な酸化膜を形成するためのプロセス条件の指針を明らかにした。主な結論をまとめると以下のようになる。 1.膜厚600nmのSi結晶薄膜(SOS)中に、エネルギー25keVのアルゴンイオンビームにより誘起される照射誘起欠陥の緩和時間は、1μs以下である。 2.シリコン酸化膜上に形成した膜厚25nmのCoSi_2中の照射誘起欠陥の緩和時間は,200μs以下である。 3.アルゴン希釈酸素プラズマを用いたイオンアシスト酸化反応では、アルゴンイオン照射により基板表面の原子振動が励起され、酸化反応を増速する。基板に正バイアスを印加し、酸化の初期過程における照射損傷を低減することにより、130℃以下の低温においても、高品質な酸化膜を形成できる。
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