研究課題/領域番号 |
10650015
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大嶋 隆一郎 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50029469)
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研究分担者 |
堀 史説 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (20275291)
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キーワード | シリコン / 固-液界面 / 格子欠陥 / 原子空孔 / 積層欠陥四面体 / 60度転位 / 転位ループ / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究はシリコン融体の構造と凝固相に導入される欠陥との関係を明らかにすることにより、次世代シリコン結晶に要求される高品質化のための基礎的知見を得ることを目的として実験を行った。本年度はまず超高圧電顕の超高温ステージを使用して試料の融解現象のその場観察を行うとともに、部分的に融解後、急冷、回収した試料について内部に形成された種々の欠陥を通常型電顕観察により調べた。その結果、原子空孔のクラスタリングの証拠である100nm程度の大きさの積層欠陥四面体の形成を見出し、その形成過程をシリコンの表面エネルギーと関係した局所的な試料内部の圧力差に起因する原子空孔の生成エンタルピーの差によって説明した。さらにその他の形態の積層欠陥、60度転位、格子間型と思われる多数の微小転位ループの形成を見出した。一方、高分解能観察法によりシリコンの液相-固相界面の観察に成功し、界面では{111}原子面での1段から3段のステップの運動により界面が進行または後退することを確認した。また、界面より固相側には3原子層程度の乱れた領域、液相側にも3原子層程度の厚さの遷移領域の存在を示唆する電顕像が得られた。さらに、赤外線加熱装置を用いたシリコンの急速加熱、急冷装置を試作し、シリコンの融解、急冷処理の予備実験を行った。回収した試料から電顕観察試料を切り出し、内部組織の予備的観察から転位などの格子欠陥の形成を確認した。本装置の陽電子消滅測定装置に組み込むべき設計もほぼ終了しており、次年度には高温での陽電子消滅測定が開始出来る予定である。
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