研究概要 |
本研究は(1)本科研費で購入したケルビンプローブを用いた表面電位測定装置を作製することと、(2)それで表面層評価をするに先だって、その比較基準となるシリコンウェーハ試料の作製とその表面層の特性を明確にしておく実験、とが並行して進められた。 (1)について:ケルビンプローブ微動装置および青色発光ダイオードによるキャリヤ励起系、出力信号検出系等からなる表面電位測定装置を作製した。接触電位差、イオン照射時、青色光照射ときの表面電位変化を本装置で正しく測定できるかを検討した。P形38PΩcm、n形150ΩcmのSiウェーハの接触電位差は0.40v,1.1Vと測定され、仕事関数が正確に測定できること、また、AlとP形38Ωcm-Siの接触電位差は0.72Vとなり、Alの仕事関数も正しく測定できることが分かった。+イオンおよび-イオン照射時の接触電位差はその電荷極性に応じて+,-で表面電位が観測されることが分かった。青色LED光のSiウェーハへの照射時のキャリヤ発生・再結合にともなう接触電位差変化信号を測定できることが分かった。 (2)について:表面層だけにダメージを導入するため、水素とボロンイオンの注入で、またケモメカニカル鏡面研磨で、シリコンウェーハ表面層にダメージを導入した試料をAFMで表面ラフネスと、TXRFで重金属汚染とを分離しながら、光導電法で評価した。表面層ダメージに応じて表面再結合速度、光導電振幅、初期ライフタイムが顕著に変わることが分かった。さらに表面下に重金属をゲッタリングで凝集させた試料が表面再結合速度で評価できることを示した。これらにより、表面層評価の比較基準データを獲得できた。今後、上の表面層評価を上の獲得データと比較しながら進め、評価装置と評価法の確立をはかる予定である。
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