研究概要 |
新しい紫外半導体レーザーとして興味深い特性を有するワイドギャップ材料酸化亜鉛(ZnO)の量子構造の特性を検討した。レーザーアブレーションによりサファイア基板上に作製した井戸層:ZnO/クラッド層:MgZnO酸化物多重量子井戸は,そお結晶学的性質や構造を電子顕微鏡やX線回折法を用いて評価した。透過電子顕微鏡の断面写真の様子やX線回折のサテライト構造を検討することにより,10nm程度の周期構造が精度よく作製できることが明らかになった。さらに,これらの量子構造の電子状態を明らかにするために,低温でのフォトルミネッセンスやフォトルミネッセンス励起スペクトルを測定を行った。フォトルミネッセンスピークのは井戸幅の減少に伴い,量子サイズ効果により高エネルギーシフトを示す。フォトルミネッセンス励起スペクトルの測定を用いて,量子準位間の遷移による吸収を観測することにより,その電子状態を明らかにした。フォトルミネッセンスの温度特性の結果を照らし合わせることにより,ZnO量子井戸には局在化した励起子が存在することが明らかとなった。 さらに,膜質の向上をめざして,より格子整合性のよい基板(ScAlMgO_4)基板上へのエピタキシャル成長をおこなった。これにより,X線ロッキングカーブの半値幅の減少が観測され,さらにZnO吸収スペクトルのピークの幅も狭くなり,AバンドとBバンドの分離が観測されるようになった。このことから新しい基板の採用により,結晶性が大幅に改善されることが明らかとなった。
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