研究概要 |
1. 分析方法 発生している複数のイオン種や中性粒子の量的変化を同時観測して,時間とともにそれぞれがどのような移り変わりをするかを知るためには,電界や磁界を時間変化させ,質量対電荷比(M/e)を時間軸に対応させて質量の分析を行うか,あるいは,それらの飛行時間差を利用する方法などがある。これらのいずれの方法も,各種イオンを,ずれた時刻においてサンプリングしているわけで,同時刻の計測にならず,速い時間変化を示す現象の解明には満足な結果が得られない。 本研究では,飛来する多種イオンの軌道を磁界によって分離し,各イオンの位置検出を行うことで同時刻の分析を可能にする。 2. 磁界の発生 運動する粒子の向きが90゚変わるところで,その粒子が磁界から抜け出るよう,磁極の形を設計し作製した。磁石には,手頃なイオンポンプ用の永久磁石を利用した。イオンが入射してから抜け出るまで,イオンに均一な磁界がかかる事が必要である。 磁束計を用いて磁界の均一性を測定したところ,イオンの通過する中心付近の磁界は±5%程度で残留気体の検出には使える。しかし,磁束密度が0.13×10^<-1>wb/m^2でやや低く,加速電圧などの実験条件に多少の無理があるので,磁束密度を2倍程度高めることを検討してゆく。 3. 真空排気系 補助金の大半をポンプ,真空計などにあてて専用の排気系を組み立て,分析器の排気を行っている。分析計の真空容器をベーキングしない状態で,10^<-3>〜10^<-4>Paの真空を得ており,順調である。排気系には市販の四極子型残留気体分析器も併置した。これとの比較を取りながら,これからの開発を進めてゆく予定である。
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