研究課題/領域番号 |
10650032
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研究機関 | 宮城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系理数科, 助教授 (80187715)
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研究分担者 |
澤田 安樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90115577)
松浦 眞 宮城工業高等専門学校, 総合科学系理数科, 教授 (40042262)
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キーワード | ハーフ・メタル / CrO_2 / 電気抵抗 / 磁気抵抗 / 強い電子相関効果 / 単結晶 |
研究概要 |
ZrO_2基板上に(100)面の選択配向した多結晶CrO_2膜の磁気抵抗(B<10T、0.55K<T<380K)及び電気抵抗の温度変化(1.6K<T<410K)を測定した結果を解析した。その結果、CrO_2はハーフ・メタルであるとするバンド計算の予測結果を発展させた多数スピンのフェルミ準位が少数スピンにおけるドナー準位の役割をするモデルによって電気抵抗の温度変化が定性的に説明され、また、膜のサイズ効果を考慮して磁気抵抗を解析したところ、極低温域においてスピン・フリップによる散乱の減少に由来する電子の平均自由行程の著しい増大を示す結果が得られた。さらに、電気抵抗の温度変化の解析から得られたT^2項の係数Aと電子比熱係数γの2乗の比(A/γ^2)が重い電子系の物質のものと極めて近い値を持つことが見いだされた。これらの結果はCrO_2がハーフ・メタルであることを支持するものであるばかりでなく、さらなる物性理解には強い電子相関効果を考慮する必要があることを示唆するものである。 また、TiO_2/Si(111)基板上に対して垂直に<100>及び<110>の両方配向した膜は<100>のみ配向した膜と比べて低温において大きな負の磁気抵抗が観測され、わずかな角度変化にも大きな変化を示すことから、〈110〉配向が負の磁気抵抗効果に大きな影響を持つことが示唆された。 最近、単結晶TiO_2(100)基板上に単結晶CrO_2(100)膜を作製する技術を確立することもできた。試料回転系をもつ低温用クライオスタットを製作して、その膜の磁気抵抗の角度依存性を極低温域で測定し、開いた軌道をもつフェルミ面を持つこと示す結果が得られ、投稿準備中である。
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