研究概要 |
1. 位相共役干渉における材料固有の付加位相の影響 光照射による色素の非可逆的な光化学反応(褪色)を利用して,吸収係数や屈折率が変化する複合型ホログラムを作成することができる。吸収係数変化型ホログラムと屈折率変化型ホログラムからの回折光の位相を比べるとπ/2だけずれる。従って複合型ホログラムにおいては、材料固有の位相が回折光に付与される。 物体情報の干渉を利用した位相共役干渉においては,所期の干渉を利用した演算ができなくなってしまう。これを避けるには,物体光以外の材料固有付加位相を予め求めておき,位相共役干渉を行わせる際に,付加位相を消去するしかない。 2. 材料固有の付加位相の測定 キサンテン系色素,アクリジン系色素,アジン系色素などを含有させた高分子膜を用いてホログラムを記録すると複合型となり、回折光に付加位相を生じる。とくに回折効率が低い場合には、付加位相の値を無視できるほどに小さいことが理論的にも実験的にも明らかとなった。 ホログラム記録と同一の条件で,ホログラムを面内に移動させながら,回折光と0次回折光を干渉させて両出力変化のずれを測定し,位相変化を求めるという,提案した測定原理が有用であることを確認した。 この原理に基づいて,既存の干渉光学系を用いて各種の色素を含有させた高分子膜にホログラム記録し,2回折光出力波形をインテリジェント・レコーダー(購入備品)に記録して,波形のずれから材料固有の付加位相を求めている。
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