研究概要 |
複合ホログラムにおいては位相型と振幅型格子が共存する.ホログラム記録と同じ条件にして,等しい強度の2光束をホログラムに照射する.ホログラムを格子ベクトル方向に平行移動させると,両回折光は周期的に変化するが時間的にずれを生じる.回折光出力のコントラストと両回折光の強度変化のずれの測定から,複合ホログラムの位相型と振幅型格子が共存するために生じる付加位相を求めることを提案して確認してきた. 今年度には光異性化反応を示すスピロピラン/ポリビニルアルコール膜(SP/PVA)及びスピロオキサジン/ポリビニルアルコール膜(SO/PVA)を作成して,これらの色素膜を用いたホログラムでの付加位相を測定した.紫外観照射により発色型にして,アルゴンレーザー光(515nm)でホログラムを作成して本方法により付加位相を求めた.アルゴンレーザー強度を変えると,再生光のコントラストは大きく変化し,最適なアルゴンレーザー光強度があることが明らかとなった.またアルゴンレーザー強度を変えても,付加位相は一定となり,SO/PVAでは0.33π,SP/PVAでは-0.75πを得た. さらに,光化学反応による微量の生成物が生じた場合に,それが屈折率の変化か吸収係数の変化に起因するのかを定量的に決定できることを明らかにした.
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