1、 平板形マイクロキャビティの準備:平板形マイクロキャビティにより、発生する光子が高い確立で特定の方向に放出されるようにするため、励起光に対してのみ低反射率である反射鏡と、放出光に対して若干の透過率をもつ反射鏡とよりなる平板マイクロキャビティを設計注文した。これにより、放出光子は低反射反射鏡側からの十分の指向性をもって放出される筈である。非対称形の共振器の波長透過特性等を計算するための、文献調査を行った。 2、 少数光子検出に習熟するため、予備実験としてHe-Neレーザー光、ルビーおよび色素Rhodamine6Gの蛍光の光子統計を計測するシステムを構築した。まず、光子計数用光電子増倍管R464の感度特性を調べ、フォトン・カウンターの入力閾値の設定法を検討した。次にHe-Neレーザー光についてゲート時間300マイクロ秒以下における統計を取り、振幅安定光特有のポアソン分布に近い統計を得た。アルゴンレーザーで励起したルビーからの蛍光についても同様の測定を行い、ポアソン分布を得た。この場合蛍光寿命が数ミリ秒であるから、発光クロムイオンが少数であれば、熱雑音形のボーズ・アインシュタイン分布が得られる筈であるが、そうならなかったのは、検出器の視野に多数の発光イオンが存在したためと考えられる。色素の蛍光についても、ナノ秒の寿命から予想されるポアソン形の統計を得た。 3、 光子が単一であるか否かを実験的に確認するためには、ハンブリィブラウン-トゥイス形の相関を取り、負の相関を確認する必要があるため、同性能のニ系列の光子検出系を構築し各々の特性を測定した。 4、 来年度は、上記キャビティに色素Rhodamine6G溶液を封入し、パルス光励起による発生光子数を徐々に減らし、最終的にハンブリィブラウン-トゥイス形の相関器による単一光子の確認を目指す。
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