1.放出光の量子論的二次相関を測定するため、ハンブリー・ブラウン・トゥイス形の光強度相関観測システムを構築した。内容は、マイクロキャビティからの放出光を二分するハーフミラー、冷却光電子増倍管二組およびフォトンカウンター、ならびにデータ集積用パーソナルコンピューターである。二個の倍増管からの出力の論理積等をコンピューターで計算するプログラムを作成した。カウンターに蓄積できるデータ数は各チャンネル2000であって、統計を取るには十分でないが、本年は1000データから統計を求めることで妥協した。 2.発光分子としてエタノール中の色素ローダミン6G分子を用い、これを試作した平行平板形マイクロキャビティのキャビディ領域に封入し、パルス幅7nsのNd:YAGレーザーの第二高調波(532nm)で励起した。繰り返しは10ppsである。出力光は設計どおりキャビティミラーに対して垂直な方向に現れた。シャープカットフィルターによって励起光を除去した後二個の光電子増倍管で光子を検出した。 3.色素濃度を5×10^<-3>から5×10^<-5>mol/1の間で5種類用意し、各々について励起入力を変えながらゲート時間30nsで相関を取った。高濃度、高励起の場合には統計はポアソン的となった。逆に低濃度、低励起の場合には統計はボース・アインシュタイン的となった。非常に弱い励起においては一光子が放出される現象が捉えられたが、その生起確立は百分の一程度であって、光子数確定状態を得るには低濃度化による一分子発光など更なる工夫を要する。
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