1.半導体面型光変調器の開発:GaAs材料系とInP材料系の面型変調器の試作を行った。 1-1)GaAs系アレー面型変調器の試作:p^+n^-n^+:GaAs基本構造を20対積層した面型変調画素を100個程度2次元的に集積した光透過型の面型アレー光変調器を試作した。画素の性能としては7.5Vの電圧変化で約10dBの消光比、挿入損は5dB、動作速度は1.5MHzであった。また、いくつかの画素に電圧を加えることで変調器から出射した光の映像は文字として認識できることが確認できた。 1-2)InP系面型変調画素試作の試み:1μm帯で動作するInGaAsP材料系の面型変調画素の試作も試みた。InP結晶を用いた埋め込み再成長時にInGaAs多層膜を溶かしてしまうメルトバック減少が問題となり面型変調素子を実際に作製するまでには至らなかったが、素子試作に向けての多層膜結晶成長、プロセス、加工などの基礎技術を確立することができた。 2.量子閉込構造を利用した素子設計:より低い駆動電圧で、高い消光比を実現するため、多重量子井戸(MQW)構造を利用した透過型でかつ面型の光変調器の設計を行った。材料系としては、0.8μm帯で動作するGaAs/AlGaAs:MQWと1.55μm帯で動作するInGaAs/InP:MQWの2つの材料系について検討した。高性能化には、MQW中の不純物濃度を1×10^<15>cm^<-3>以下にすること、井戸厚の揺らぎの標準偏差値を0.2nm以下にすることが重要であることがわかった。最適化したGaAs/AlGaAs:MQWではバルク結晶の3倍消光比を大きくでき(InGaAs/InP系では2倍)、5Vの電圧変化で消光比20dB、挿入損2dB、動作速度数GHzの性能を有する素子構造が設計できた。
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