本研究では、偏光顕微鏡に共焦点光学系を導入することによって、これまでの偏光顕微鏡では困難であった、高分解能と高コントラストを実現することを目的として研究を進めてきた。従来の偏光顕微鏡では、高分解能を実現するために高い開口数の対物レンズを用いると、対物レンズ自身によって偏光面が回転してしまうため、コントラストが低下してしまうという問題点を有していた。本研究ではこの問題点を解決するために、偏光顕微鏡に共焦点光学系を導入することを提案した。共焦点光学系では、検出器の前に配置したピンホールによって対物レンズによって偏光面の回転した成分が除去されるので、高い開口数のレンズを使用した場合でも、コントラストが低下しない。 今年度は、共焦点型の偏光顕微鏡を試作し、基礎実験により原理の確認を行った。微小球を試料として用い、開口数0.65の対物レンズを用いて偏光解析を行った結果、コントラストがほとんど低下しないことを確認した。また、検出器の前に配置するピンホールの大きさとコントラストの関係を明らかにし、高いコントラストを得るためには、ピンホールはエアリーディスクよりも小さい必要があることを示した。提案した顕微鏡が、3次元分解能を有することを発見し、3次元解析が可能であることを示した。昆虫の複眼を試作した顕微鏡で観察し、その有効性を確認した。今後は、蛍光試料の偏光解析、更なる高分解能化などを検討する予定である。
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