本研究では、偏光顕微鏡に共焦点光学系を導入することによって、これまでの偏光顕微鏡では困難であった、高分解能と高コントラストを実現することを目的として研究を進めてきた。従来の偏光顕微鏡では、高分解能を実現するために高い開口数の対物レンズを用いると、対物レンズ自身によって偏光面が回転してしまうため、コントラストが低下してしまうという問題点を有していた。本研究ではこの問題点を解決するために、偏光顕微鏡に共焦点光学系を導入することを提案した。共焦点光学系では、検出器の前に配置したピンホールによって対物レンズによって偏光面の回転した成分が除去されるので、高い開口数のレンズを使用した場合でも、コントラストが低下しない。 今年度は、Mie散乱理論を用いて、共焦点型の偏光顕微鏡の結像特性を解析した。微小球を試料として観察した場合の共焦点偏光顕微鏡の3次元的な結像特性について解析し、共焦点型がこれまでの偏光顕微鏡に比べて、高いコントラストと、高い光軸方向の分解能を有していることを理論的に確認した。また、共焦点型偏光顕微鏡を試作し、蛍光分子の配向特性の解析を試みた。今後は、蛍光試料の偏光解析、更なる高分解能化などを検討する予定である。
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