研究概要 |
固体色素レーザー薄膜の創製を目的に、ゾル・ゲル法により、金微粒子を光還元析出したローダミン色素分散シリカ/チタニア薄膜を作製しその光物性を評価した。 1. 金微粒子をドープした色素分散シリカ/チタニア薄膜の作製と構造評価 既法に従って調整したローダミンB色素(RB)を分散したシリカ/チタニア(SiO_2/TiO_2)前駆体ゾル溶液に塩化金酸(HAuCl_4,0.1-0.01M))を溶解し、これをガラス基板上にディップコートすることにより、Au(III)イオンをドープしたRB-SiO_2/TiO_2膜を作製した。この膜に紫外線照射を行うことにより膜中に金微粒子を光析出させ、得られた膜を透過型電子顕微鏡観察した結果、膜中に粒径が5〜10nmの金ナノ微粒子が生成していることが確認された。また本研究費で購入した蛍光顕微鏡を用いて光学像を観察した結果、金微粒子のプラズモン共鳴吸収による青紫色の着色が認められた。 2. 金微粒子をドープした色素分散シリカ/チタニア薄膜の光物性 1で作製した金微粒子ドープRB-SiO_2/TiO_2薄膜にフォトマスクを通して紫外線照射した試料の発光特性を蛍光顕微鏡を用いて評価した結果、光照射されていない領域からはRB色素の発光が認められなかったのに対して、光照射により金微粒子が生成した領域からは発光が観察された。これは、Au(III)イオンによりクウェンチされていたRBの発光が金微粒子の生成により再活性化されたためと考えられる。さらに紫外線レーザーを用いたスポット照射により、この発光領域を微細パターニングできることが確認され、今後、膜中に光導波路や周期構造を形成することにより、新規な固体薄膜レーザー媒体としての発展が期待できる。
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