赤外画像分光計測の難点の一つは、赤外領域ではイメージインテンシファイアに相当する素子がなく、高速パルス微弱画像の計測ができないことである。そこで、本研究グループでは、縮退四波混合法(DFWM)による赤外コヒーレントな分光画像信号を、非線形光結晶中でポンプ光と周波数混合して可視あるいは近紫外光に周波数上昇変化し、既存のイメージインテンシファイア付CCDカメラで計測する方法を提案している。 本研究の目的は、提案している周波数上昇変換を併用した縮退面像四波混合法による赤外画像分光計測を実証し、画像歪み・空間分解能・検知感度などの実用化に不可欠な基本特性を明らかにすることである。 平成10年度に得られた主要な成果は以下の通りである。 1. Csを含有したガラスターゲットをXeClレーザーでアプレートしCs蒸気を発生し、このCs蒸気を対象にTi:サファイアレーザーを光源としてDFWMによる計測を行った。 2. Ti:サファイアレーザー励起用のNd:YAGレーザー基本波光(波長1.06mm)とDFWM信号(波長852nm)をBBO結晶中で混合し、波長472nmの可視画像に変換し、ICCDカメラで撮影することに成功した。これにより、本システムによる赤外画像分光計測の可能性が実証された。 3. 開発したシステムでの空間分解能、周波数上昇変換にともなう画像歪などを評価するためのシミュレーションコードの開発を行った。
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