疑似速度整合形マイクロ波高能率光変調器を基礎とし、分極反転の周期を制御することによってマイクロ波光変調器の変調効率および変調帯域を制御することができる。本年度は、まずこのマイクロ波変調帯域について解析を行った。解析の結果、適切な分極反転形状を選択することにより、中心周波数の数割にもおよぶマイクロ波広帯域光位相変調器が疑似速度整合によって実現できることが明らかになった。また、隣接二周波数において高効率光変調器が実現できることもわかった。 次に、電気光学結晶の分極反転プロセスの検討を行い、光変調素子の試作を行った。分極反転用高圧電源および各種測定装置を試作し、それらを用いて電気光学結晶LiTaO_3の常温高電界印加による分極反転実験を行った。その結果、良好な分極反転領域の形成は、分極反転領域の面積に応じた反転電流を制御することによって十数秒で完了する分極反転の通電電荷量を正しく把握すること、反転の前後に熱アニールを行うことによって結晶中の歪み等を除去すること、によって可能になることを見いだした。予備実験により低周波光変調素子を分極反転を用いて試作し、理論と一致する実験結果を得た。これにより、マイクロ波光変調素子試作の指針を得ることができた。今後、複数周波数によるテラヘルツ領域の広帯域変調スペクトル生成を行う予定である。
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