フォトリフラクティブ結晶であるBSO単結晶を用い、実時間ストロボホログラフィー干渉計を構築して、超音波による水の屈折率変化の干渉縞パターンより、3次元の超音波音圧分布の測定を実現させることを目的にしている。本年度の実績として、以下の点を明らかにした。 1. BSO結晶のホログラム記録特性の改善に関する理論的実験的検討として、2光波混合実験を行い、単一レベル、2キャリアのバンド輸送モデルをその結果にあてはめ、結晶の融液組成まで遡って、特性改善に寄与する諸パラメータを求めた。 2. BSO結晶を用いた実時間ストロボホログラフィ干渉光学系の検討として、まず、記録情報量を増やすために結晶サイズは、20×20×8mm^3のものを用い、印加電圧14 kV/cmで実験できるように絶縁液を封入した高耐電圧のBSO結晶セルを設計製作した。パルス幅 150nsのレーザパルス光を500kHzの超音波に同期させ、測定域φ50mmのストロボホログラフィー干渉光学系を構成した。高いコントラストのホログラフィー干渉縞を形成させ、CCDカメラより画像入力ボードに入力し、良好な超音波波面可視化像を得た。 3. 円形開口から放射される超音波波面を測定対象とし、得られた干渉縞パターンに対して、高感度干渉縞解析法(フーリエ変換法)を用い、光波の位相変化量分布を求めた。この音場は、軸対称と考えられるので、アーベル変換を行い、3次元音圧分布を求めた。フレネル回折理論で得られる回折像と良い一致を示す音圧分布が濃淡画像として得られた。
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