研究概要 |
二次元的広がりをもった試料について、分光測定による蛍光化学種の同定と、その化学種毎の濃度分布計測においてスペクトル強度情報の他に蛍光寿命情報の追加は、演算処理の速度・精度を多いに向上させるものと考える。一般にこのような蛍光寿命分布の測定においては、パルス光源で試料をスポット励起し、引き続き生ずる蛍光を高速検出器で、x-y方向の走査を行ないながら測定するという方式がとられる。この走査方式は観測時間が長く、信号利用率が低いという欠点を有する。 本研究は(1)励起光源の二重振幅変調とイメージインテンシファイヤ撮像素子(I.I.撮像素子)の内部利得変調を用いることにより、x-y走査を行うことなく、nsの分解時間で二次元の蛍光寿命情報を瞬時に得ること、(2)分光パターン計測に、蛍光寿命情報を追加し、スペクトル測定のみでは不可能な蛍光化学種の分布分析の演算処理速度を改善した新しい分析法の開発にある。 本年度は主に装置の試作に重点をおいた研究を行なった。 I.I.撮像素子、レーザー、AO変調器、変調用発信器、タイミング制御回路、CCDカメラ、パソコンからなる測定装置の製作を行なった。ここでI.I.撮像素子については本科学研究費で購入した近接型I.I.撮像素子を利得変調モードで動作させるための変調回路等を自作し、約20MHzの利得変調周波数での特性測定を行なった。 変調用電極としてI.I.撮像素子の光電面電極およびチャンネルプレート電極を用いて利得変調の効果を調べた。いずれも利得変調が可能であることを確認した。効率の点から光電面電極が変調電極として望ましいことが分かった。 励起用Arレーザー光路中に直列に配置した2台のAO変調器を20MHz,およびI.I.撮像素子変調周波数との差周波数で二重変調し、寿命(位相)情報が検出可能であることが分かった。
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