研究概要 |
本研究者が発明した光熱誘電率顕微鏡は誘電体中のミクロな誘電率温度係数分布を読みとることができる初めての装置である.しかも最近の研究で分解能も光で読みとれる限界の1μmφ程度まで向上してきている.そこで,このプローブ光を電子線に変え一気に走査型電子顕微鏡(SEM)の分解能と同程度の分解能で誘電率温度係数分布及び熱の流れの分布を計測できる走査型電子誘導電率顕微鏡を開発した. その為に,まず熱拡散長を極限的に短くするために非常に高い周波数で継続した電子線による微小領域の誘電率変化を高感度で検出するためのマイクロ波発振器の開発およびその復調系の開発を行った.また,総ての機器をコントロールし,顕微鏡システムとして有機的に統合制御するソフトウエアーの開発も行った.その結果,本顕微鏡は材料の組成分析と誘電率温度係数計測及びSEMによる形状の同時観察が高分解能に行える顕微鏡となった. 走査型電子線誘電率顕微鏡の開発に成功したので次に,これを用いた誘電材料の評価法の確立を行った. 即ち,開発した顕微鏡システムを用いて,種々のマイクロ波用誘電材料(特に多相系のセラミックス)のサブミクロン領域での誘電率温度係数分布を計測した.このようなセラミックスの各グレインの組成と誘電率温度係数の関係等を明らかにする研究を通して本顕微鏡システムの有効性を明らかにした. また計測の高速化を図るため実時間計測法の確立と定量測定法の確立も行った.
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