2D-3D型酸化物超伝導トランジスタの作製と動作確認を目標とした本研究は、以下の計画に従って実施された。具体的な研究目標はデバイス形成に必要な構造を有する薄膜の成長法の確立とデバイスの基本設計であり、まず高品位の超伝導薄膜を成長させるため反応性スパッタリング装置の改良を行った。良好なデバイス特性を得るためには、結晶の配向性と表面の平滑性を向上させることが必須であり、その観点から反応性スパッタリング法による配向性薄膜の成長法を検討した。 本年度は、成膜装置である反応性スパッタリング装置のサイドスパッタ方式への改良を行うことによって、薄膜へのプラズマによる損傷を低減し、より完全な層構造を実現するため、超伝導体薄膜の成膜条件(スパッタ方式、ガス圧、マイクロ波電力、基板温度など)の検討を行った。その結果、ターゲット・基板間距離、40mm、ガス圧、0.05Torr、マイクロ波電力40Wが最適であることが分かった。次に電極として用いる金属Ptのエピタキシャル成長を検討し、酸素雰囲気中で成長させることによって(200)配向をしたPt薄膜を得ることを見出した。また電極Pt/YBCO/電極Ptの三層構造を成長させ、その配向制御と特性の評価を行った。一方、2D-3D型高温超伝導トランジスタの設計もあわせて行った。
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