研究概要 |
平成10年度の研究では、光熱電気化学法がレーザー・ビームにより加速・変調された電気化学変化を利用して検出することの着目し、実験の再現性を向上することに研究の主眼を置いた。電極をカソードとアノードのみの二端子法と、さらに基準電極を設置する三端子法の二種類の配置を用いて検討を加えた結果、三端子法により、非常に再現性のよい実験結果を得ることができた。また、基準電極に印加する電圧を微妙に調製し、孔食電位より幾分低電位に保つ事により、実際に存在する孔食以外の金属試料部分にほとんど損傷を与えずに検査が可能であることを確認した。また同一試料を光音響影像法によっても測定し、その結果を比較・検討した結果、空間分解能に関して光音響影像法とほぼ同等の性能を有することが明らかになった。分担研究者の樋渡のグループでは腐食溶液に飼料を侵せきして実際に孔食を作成し、その光音響像の測定を行った。さらに遠藤らのグループでも金属板に生じた亀裂の映像化などを光音響顕微鏡を用いて行い、実際の非破壊検査を行える様に研究が進展した。 平成11年度の研究の主な成果としては、光音響顕微鏡の開発関係で見るべき進展があった。精密ステージをソフトウェアLabViewで制御・駆動した装置が実用的に使えるようになった。これらの結果を各種の国際会議(SPIE, 横浜/IEEE,Nevada)等で発表した。 上記の様に、本研究では研究代表者が新しく提案した光熱電気化学検出法が、マイクロフォンを用いる光音響法では検出不可能な小さな配管等に発生する孔食を、高感度マイクロフォンが測定不可能な電解質溶液中でほとんど非破壊的に測定できる新しい手法である事を示した。また、光音響影像法においても駆動系などの改良を行い、また実際の非破壊検査を行うことができた。
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