1)ツァリス統計の動的な一般化とその応用: ツァリス統計は統計物理学の一般化という観点から多くの研究者の興味をあつめているが、また最適化問題への新しいアプローチとしても興味ある方法論を提供している。我々はこれまで平衡分布という静的な問題としてしか促えられていない点に注目し、これの動的なバージョンをランジェバン方式を用いて与え、巾的な分布則が大きなバーストに対応していることを示した。さらにクラマース問題へ応用することにより、低温で温度に依存しない遷移率を与えることを示した。(1998年秋、1999年春の物理学会で発表) 2)温度コントロールの問題点の解決: 擬似冷却法等温度は計算の効率化において重要な役割を果たしているがその定義と計算機内での取り扱い(計算アルゴリズム)は難しくかつ重要な問題である。我々は原理的な問題を含むこの問題にたいして、蛋白の折れ畳問題を例にとり、温度制御のやり方を全く新しい見地から定式化した。すなわち分布関数は常にマスター方程式を満足するという拘束条件のもとでエネルギー期待値の最小を実現する、時間に依存する温度を求める微分方程式を提出し、これを数値的に解いた。短時間で最適解に至る解を見つけることに成功したが、また場合によっては温度を決める微分方程式が最適解に至る前に解を持たなくなる場合も存在し、もう少し詳しく調べる必要があることが分かった。
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