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交通流の動的性質を数理的に解析する模型として我々が提案した最適速度模型(OV模型)は既に国内外において高い評価を得ているが、本助成研究では、その物理的性質を明らかにし、現実の交通流の分析に応用し得る模型の開発を目指し、本年度一定の成果を得た。まず、物理的性質の解明については階段関数OV模型や区分線形OV模型など、渋滞クラスターの厳密解が得られ渋滞転移の性質を解析的に調べられる模型をもとに、OV摸型の一般的な渋滞転移の性質について明らかにした。その成果はDuisburgで行われた国際会議の講演集の掲載論文(Aspects of Optimal Velocity Model for Traffic Flow)として出版された。また、現実の交通流の分析に適用可能なOV模型として、OV結合写像模型の構築を進めた。基本的な模型構築は完了し、その成果は第一論文(Coupled Map Traffic Flow Simulator Based on Optimal Velocity Function)としてまとめ出版された。初期の成果については上記国際会議でも発表され、講演集の掲載論文としても出版されている。
さらに、この模型を使っての現実的交通流における渋滞形成の機構について、開放端境界条件・速度揺らぎ・ボトルネック(トンネル、高速道路の合流分岐)など様々な条件における渋滞発生機構について調べた。これについては現在論文作成中であり、次年度の成果として報告できる。また、日本道路公団より東名高速道路において観測された大量のデータを得ることができ、今後の模型開発や交通流の動的性質の解明に役立てられるであろう。また交通流研究の基礎資料として研究者に広く活用されることを目的に交通流データ集として出版するに至った。
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