研究概要 |
内部を流体で満たされた円盤状き裂を3次元地下き裂の代表例として取り上げ、その動的応答特性を詳細に検討した。その結果、TypeI,II,IIIの三つの振動形態が存在することが明らかになった。すなわち、フーリエ像空間において、基本振動モードの明確なピーク周波数が見えないもの(TypeI)、フーリエ像空間において基本振動モードが明確なピーク周波数として現れるもの(TypeIII)、および、TypeIとTypeIIIの中間のスペクトル特性を有するもの(TypeII)の三つである。この内、TypeIIIは、き裂に加えられた人工刺激がき裂内を伝搬してゆく際の減衰が弱く、従って、き裂先端で反射して定在波を形成しやすい条件下で発現する。地下き裂のキャラクタリゼーションのためには、TypeIIIが実現されることが望ましい。このためには、貯留層圧力をできるだけ高く保持することが推奨される。 地下熱交換システムを構成する地下き裂の大きさ、き裂開口幅およびき裂面接触剛性の評価を行うための新しい手法を考案した。これは、き裂の動的挙動解析から得られる固有周波数とフィールドで計測された微小地震波のピーク周波数との比較対照に基づく方法である。この手法を、肘折ならびに雄勝フィールドで計測された微小地震波の解析に適用した。肘折フィールドでは、三つの微小地震波イベントについて評価が可能であった。また、雄勝フィールドでは、二つのイベントについて評価可能であった。肘折ではき裂半長とき裂開口幅がそれぞれ5〜11m,1〜44mmという結果が得られた。一方、雄勝では、4〜28m,10〜22mmという結果が得られた。
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